スピード練習が続かない人のためのスピ練革命

スピード練習が続かない人のためのスピ練革命

こんにちは。
ランニングショップHolosの小谷です。

皆さんは「スピード練習が大事と頭では分かっているのに、なかなか続かない(始められない)」と悩んだことはありませんか?

ジョギングは大事ですし、そのボリュームを増やしていくことでレベルは着実に上がっていきます。

しかし、ある程度のレベルに達すると、どうしてもスピード練習無しではそれ以上の記録を目指すのは難しくなります。

そこで、今回は「これまではスピード練習を継続できなかった人も、今年からはスピード練習を習慣化して新しい自分を手に入れよう!」というテーマで話をしていこうと思います。

習慣を変えていくにはそれなりにエネルギーが必要ですので、3回くらいに分けて一連のシリーズとしてお届けする予定です。

スピード練習が続かない理由を明確にし、自分に合った改善策を見つければ、「やらなきゃ」が「やりたい」に変わります。

ぜひ最後までお付き合いいただいて、次の大会で自己ベストを狙う準備を始めましょう。

なぜスピード練習が続かないのか?本当の原因を知ろう

シリーズ第1回の今回は「そもそも、なぜスピード練習を続けることが困難なのか?」という原因の分析から始めたいと思います。

私が思うに、原因は次の2つに分類すると分かりやすそうです。

①肉体的な負担が大きく、疲労が蓄積するから(体力的な壁)
②スピード練習に対する考え方が実行のハードルを高くしている(心理的な壁)

皆さんは①と②のどちらの方が影響していると思いましたか?

私個人としては、若くて回復力の高かった学生時代は②の方がネックでスピード練習に苦手意識を持っていました。

年齢を重ねるにつれて、また社会人になったり家族を養うという責任が生じるにつれて、①の体力的な壁も少しずつ影響するようになってきました。

そして、疲労回復の方法を色々と試したり、色々な情報に触れて考え方が変わっていく中で、現在では①と②のバランスが取れてきている(=スピード練習との良い付き合い方が分かってきている)のかなと感じています。

以下の項目では①体力的な壁、②心理的な壁 のそれぞれについて、その克服方法を考察していきましょう。

①の体力的な壁の克服方法

スピード練習に特徴的な疲労からの回復方法については、以前のブログでも紹介していますので今回は割愛したいと思います。まだ読んでいない方は下記リンクよりご覧ください。

『スピード練習を継続できる。疲労原因によるサプリの使い分けテクニック』

『疲労を「抜く」と「ごまかす」の上手な使い分け方』

上記リンクは主にサプリメントという視点で解説しています。

もちろん、十分な睡眠をとる、ストレスと上手につきあう、友人との交流を楽しむなど、一般的な回復・リラックスも役立ちます。

②の心理的な壁の克服方法~どんな考えがネックになっているのか?~

私たちを「スピード練習をつい避けてしまう。継続できない。」という行動に導く心理的な背景にはどんな信条(思い込み・認知の歪み)があるのでしょうか?

私のこれまでのランニング人生を振り返ったところ、次の3つは特に大きな問題の原因となっていたように感じます。

  1. スピード練習は追い込まないと効果が薄いという誤った認識をもっている
  2. 最適な練習メニューがあると信じて、それに固執するあまりに柔軟性の低いメニューを計画している。(例えば、1000m×6をキロ4分でやり切るのが効果的と信じて、それに固執してしまう。実際には日々の調子によってアレンジして良いのに)
  3. スピード練習のために体力が完全に回復したフレッシュな状態を用意しないといけないと思っている

1.「追い込まないと意味がない」は誤解。継続性が効果を生む

私は小学校6年生のとき「学校のマラソン大会で活躍したい」と思い、5年生のマラソン大会が終わったその日から、1年間かけてマラソンの練習をしていたことがあります。

当時の私が考えたメニューは「マラソン大会と同じ2kmの距離を毎日全力で走る」というものでした。
毎日ゴールしたときは、肺が苦しくて、手を膝について激しく呼吸をしていた記憶があります。

これは今思えば良い練習とは言えませんが、それでも「1年間継続した」という他の生徒にない努力が実を結び、私は優勝することができたのでした。
そして、その成功体験が「マラソンはキツい練習をすればするほど速くなる」という誤った信念につながりました。

そのため、大学で入ったジョギングサークルでも「30分間の練習時間で全力走をする」というのが私の決まりでした。

程度の差こそあれ、皆さんもマラソンの練習(特にスピード練習)に関して同じような信念(前提)があるかもしれません。

部活動などで呼吸が激しく乱れるペースで走らされた経験は「マラソンの練習はこれくらいキツくて当たり前」という自分自身では疑わない信念へと繋がっていきます。

しかし、実際にはそんなに追い込まなくてもスピード練習の効果は得られ、継続性も高まるので成果が大きいとしたら、どう思いますか?

2.「この設定でやらないとダメ」という思い込みを手放そう

これまで私はトレーニングについて勉強しながら

  • 心拍数を用いた強度の管理
  • ジャック・ダニエルズのVDOTを活用したペース設定

などを試してきました。

『ポラライズドトレーニング』について調べて「ふむふむ、トレーニング強度を極端なゾーンに集中させて、中間のところは非効率だから減らした方が良いのか」などと勉強していました。

このような情報はメリットをもたらしてくれましたが、一方でデメリットもあったと思います。
(いや、私が勝手に勘違いしたと言った方が適切ですね)

いつしか私は「今の自分のレベルなら、これくらいの心拍数(あるいはペース)で走るのが最も効果的という分かりやすい最適値があり、練習ではいつもそれを実現すべきだ」という固定観念に囚われるようになってしまったのです。

確かにペースによってトレーニングの適応は変わると思いますが、ある一つのペースがすごく効率的ということはあまりなくて、実際にはグラデーション的にどのペースで走ることにもメリットはあるはずと今は考えるようになりました。

「最適なトレーニング強度を実現しよう」の想いが強すぎると、現実問題として生じる日々の体調による差を考慮できなくなってきます。

「1000m×6を4:30/kmペースでやらなければ非効率」と思っていると

  • 「今日は設定をこなせそうにないから、また明日以降に振替よう」となったり
  • 無理に頑張って3本目くらいで終わって中途半端な練習になったり

真面目で効率重視で完璧主義な性格の人は心当たりがありませんか?

実際には、体調に応じて負荷を調整して、それなりの練習で達成感を味わう。
それなら無理なく続けられるから、結果としてスピード練習の頻度を維持できて成長が早い。

今の私はそのように考えています。

3.「万全な状態でないとできない」という呪縛からの解放

「質の高いスピード練習をするためには、しっかり疲労を抜く必要がある」

誰でもそのような意見を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

これは正しい意見だと思います。しかし、また私はこう考える罠にハマってしまいました。

「効果的なスピード練習をするためには、疲労を完全にリフレッシュしないといけない。」

このような考えが強くなると、やはりスピード練習を実施できる回数が減ってしまいます。

さらに悪いことに、リフレッシュした状態を作るために、スピード練習以外の練習、すなはちジョギングの量も減らす必要が出てくるかもしれません。

しかし、ジョギングの量(≒週間走行距離)は最大酸素摂取量、ランニングエコノミー、筋グリコーゲン温存量などの走力の基盤と密接に関わっています。

スピード練習のためにジョギング(全体的なボリューム)が疎かになるというのは、多くの人が陥る可能性のある失敗ではないでしょうか。

感覚的に表現しますと、以前の私は『10段階の体力ゲージ(0が疲労困憊で10が完全リフレッシュ)』があったとしたら、体力ゲージ=8~10に回復させてからスピード練習をしていました。

しかし、今では体力ゲージ=6~8くらいで、そこそこのスピード練習を高頻度でこなしていく方針を好むようになりました。

まとめ

今回はスピード練習を実行しにくくしている原因について考えてきました。

①肉体的・体力的な壁
②心理的な壁

に分類して、ネックとなる問題点を解消していきましょう。

「スピード練習が苦手」という意識のある方は恐らく②の心理的な課題があると推察します。

上記では私が抱えていた誤った信念について紹介しましたが、ぜひ皆さんもご自身の中にそういう信念が無かったか内省して書き出してみてください。
それだけでも、スピード練習との付き合い方が少し変わるはずです。

次回は「心理的な壁を越えるための考え方とアプローチ」というテーマで、行動を改善する更なるヒントを探っていく予定です。お楽しみに。

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